第77章 約束の地へ〜おまけエピローグ2〜
「ひまり様!あともう少しでございます」
「意識をしっかりお持ちください!」
私は皆んなに励まされながら、両手で紐を引っ張り必死に痛みに耐える。
(私が……頑張らなきゃ……)
まさか、この時代で出産するなんて思ってもみなかった私は、こんな事ならもっとしっかり勉強しておけば良かったと今更ながら思う。
家康がこのお城で生まれたって聞いた時は、本当に嬉しくて……時を超え新たに生まれる命が、待ち遠しくて、仕方なかった。
「あぁぁぁっ!!!」
身体がバラバラになりそうになりながら、心の中で必死に自分が母親になる自覚を持ち……
私は汗で滑りそうになる手を、しっかりと握った。