第75章 約束の地へ 最終章 後編
夕方になり、広間に集まった人々が少しずつ減り出した頃……。
「佐助君も幸も本当にありがとう!」
私がそうお礼を言うと、二人は優しい笑みを浮かべてくれる。
「……俺達は春日山に戻る。今日の知らせが謙信様に届いてたら厄介だからね」
「お前が戻ってきてたこと、ずっと隠してたからな。流石にもうバレて今頃荒れ狂って、刀振り回してるぜ」
「謙信様が……?」
何で私が戻ってきた事で謙信様が刀を振り回す理由になるのかが解らず、首をかしげると……隣に居た家康はただ一言、知らなくていいから。と答えた。
(まぁ……謙信様が刀を振り回すのはいつもの事だし、気にしないでおこう)
「秀吉さん光秀さん、今日はありがとうございました!」
「明日の祝言も邪魔するからな」
「せいぜい、織田家の名潰すでないぞ」
「は、はいっ!」
私は二人に向かって返事をした後、政宗と三成君にも色々と準備をして貰ったお礼を言う。
そして最後に、私は信長様の元に駆け寄った。
「……本当に、本当にありがとうございました」
「何をそんなに礼を言う必要がある。そもそもお前を嫁がせたのは、同盟の絆を深める為だ、それを忘れるでない」
その言葉を聞いて、私は思わず信長様の胸に飛び込む。
(やっぱり信長様の優しさは、私なんかでは計り知れないぐらい……大きい)
家康を想う気持ちと
信長様を想う気持ちは違うけど……。
それでも、私は。
「信長様の事も大好きです!」
「なっ、ちょっ!ちょっとひまり、いきなり何言って!!」
「家康、娘が父親を慕うのは当たり前であろう?」
「だから、そうやって良い所ばっかり取るから……腹がたつんだけど」
「ふふっ……」