第75章 約束の地へ 最終章 後編
「何を失ってもいい。だけどひまりだけは……どうしても、失いたくないんだ」
だから……。
「ひまりの全てを……」
ひまりの
これからの未来を……。
全部。
「………俺に下さい」
「……っ」
ひまりの涙が頬を濡らす。
俺は返事を待つのも忘れ、思わず立ち上がりそれを指先で拭う。
「……ひっ、く…っ」
「泣くなら、返事をしてからにしろ」
「……君の言葉でしっかりとね」
近くでひまりを見守っていた信長様と佐助。二人はそう言った後、スッと後ろに下がる。
するとひまりは涙を軽くぬぐい、その場に両膝をつきしゃがみ込むと、両手を胸前で組みそっと目を伏せた。