第74章 約束の地へ 最終章 中編
私は秀吉さんと光秀さんに手を引かれ、
城の門まで辿り着く。
二人はそのままそっと私だけを馬の上に乗せると、手綱を持って歩き始めた。
「腹の子に何かあってからでは遅いからな」
「揺れないように気をつけるから、ひまりはしっかり掴まってろ」
「は、はいっ!」
城下町を通ると町の人が外に出て来てくれて、沢山お祝いの言葉をかけてくる。私は恥ずかしさと嬉しさと、どっちも混ざり合って思わず顔を赤くしながらお礼を述べた。
「織田家の姫として恥ずかしがらず、堂々と出来ないのか?」
「む、無理、言わないで下さい!向こうの世界では平凡なごく普通の暮らししてたんですから……」
まさか自分が戦国時代のお姫様になるなんて、半年前の自分に言ったらもう起き上がれないぐらい腰を抜かすか、絶対に信じないか、どっちかに決まってる。
「それでは、徳川家の奥方は務まらんぞ?」
「うぅ……」
前を歩く光秀さんにからかわれながら、どんどん馬は進んで行く。
「着いたぞ、ひまり」
「あれ?……ここって、……野原だよね?」
沢山の人で溢れかえっていて、何処か一瞬解らなかったけど、視線の先には確かに花畑が見えた。