第72章 約束の地へ 後日談(10)
「せ、先輩!!」
聞こえた声が男の人だったせいか、何故か皆んなが興味津々に携帯を囲むように移動していて……。
「何も知らなくて、この前は急に部屋に連れ込んだりして……」
ごめん。
先輩がそう言った瞬間、私は一気に冷や汗が吹き出す。
「せ、先輩!も、もうその事は気にしてないので本当にもうっ、全然!気にしないで下さいっ!!」
背中越しにひしひしと伝わる家康の負のオーラに、自分でも意味のわからない日本語がぽんぽん飛び出る。
「でも、俺やっぱり諦めれない。ひまりを泣かせてばかり居る奴なんて認めない」
好きなんだ、ひまりのこと。
プツッ……プッープッー……。
「……凄いな、お前」
「……やはりひまりは向こうの世でも悪女であったか」
「何となく喋り方、家康に似てなかったか?」
幸は感心したように頷き、信長様はニヤリと笑う。秀吉さんには痛い所を突かれてしまい……。
「ち、違いますっ!皆んな何か変な誤解してっ!」
「へぇ……誤解?」
(……っ!!!)
恐る恐る後ろに振り返った瞬間、私は物凄く後悔をする。
「……で?部屋に連れ込まれて何された……の?」
家康の顔を見た瞬間、頬が引き攣り思わず後ろに下がった。