第68章 約束の地へ 後日談(6)
「おっ?おめぇ、団子屋の娘じゃねーか」
女の人と軽く挨拶を交わし別れた後、歩き出した私の目の前に、突然男が三人現れる。
(この人……前に言い寄って来たお客さんだ)
後ろの2人は誰か知らないけど、一番前でニヤニヤと笑う男の人は見覚えがあり、思わず後ろに下がる。
(あの時は、家康さんが助けてくれて……)
そんな事を考えている間にじりじりと近づかれ、手首を掴まれる。
「あん時は邪魔されたが、今日は……」
「嫌っ!離して下さいっ!」
(どうしよう……ここひと気少ない場所なのに)
辺りを見渡しても、誰も通りそうにない。
(家康さん、助けてっ!)
思わず、心の中でそう叫んだ時……。
「嫌がってるのに、やめてあげて下さい!」
さっきの女の人が私を庇うように立ち、男の手を振り払った。
「なっ!何しやがっ………」
男は女の人の顔を見て驚いた様に目を見開いた後、口笛を鳴らす。
「こりゃぁ〜中々お目にかかれねぇ上玉じゃねーか。身なりからしてどっかの姫さんか?」
「なっ、……触らないでっ!!」
「気が強い所も、いいじゃねぇか」
今度は女の人の腕を掴み、男は気持ち悪い笑みを浮かべる。女の人が必死に身体を動かし抵抗すると、籠から再び赤い林檎が落ちて地面を転がった。
「おっ!首筋に男の跡つけやがって……初そうに見えて意外に淫乱女か?中々、楽しませてくれそうじゃねぇか」
女の人はその言葉を聞いて、顔を赤らめ掴まれてない方の手で、赤い印がついた首筋に手を当てる。
「俺たち暇で困ってんだよ〜」
「すぐ、終わるからさ〜」
後ろにいた男達も、私達を囲むように近づく。
「それ以上、近づかないで!!」
「やめて下さいっ!!」
二人とも手を掴まれ、逃げ場を失った時だった。
シュッ……!
突然、男達目掛けて赤い林檎が飛んでくる。
「……その汚い手、今すぐ離せ。それ以上、その子に触れたら……」
その手切り落とす。