第62章 約束の地へ(17)
「………もう、満足したか?」
口付けを交わした後。不意に信長様の声が頭上から降ってきて、慌てて俺達は上を見上げる。
「……いい雰囲気になったら、邪魔者は消えるって言ってなかったけ?」
ゴンッ!!
思わず敬語を忘れそう言うと、信長様は思いっきり俺の頭にげんこつを落とした。
「み、皆んな居たんだねっ……えっと、そのただいまっ!!」
「居たに決まってんだろ!さんざんこっちは見せつけられて、困ってたとこだっ!」
「ご、ごめんねっ!!」
ひまりは顔を真っ赤にしながら、幸村に向かって手を前で合わせ謝っていた。
「すまない……邪魔するつもりはなかった。ただ、どうやって奇跡がおきたか知りたかったから……」
「奇跡……?」
ひまりはキョトンとした表情を浮かべ、首を傾げる。佐助はそんなひまりに、ここに来た経緯を簡単にで良いから教えて欲しいと頼んだ。
「経緯ってゆうか///その……///」
するとひまりはハッと顔を上げ俺の方を向き、何故か照れ臭くさそうに視線を泳がす。
「えっと……実は記憶が戻ったのがついこの前で……それから……」
佐助の予想通りひまりは、三ヶ月の間の記憶を失っていて、普通に仕事をしながら生活を送り、少しずつ記憶を取り戻していったことを話す。
「それで、最初にワームホールが現れた場所に行こうとしたんだけど……」
家康と大切な人が教えてくれたの。
そっちじゃないよって……
「家康が作ってくれた、道標があることを……大切な人が教えてくれたの」
「……大切な人?」
俺が尋ねるとひまりは、
目を伏せながら話を続ける。