第62章 約束の地へ(17)
《ドォォォンッッッ!!!!!》
手首のぬくもりを感じたまま、耳に凄まじい音が鳴り響き、目を閉じる。
眩しい光が私を包み込み、
思わずギュッと目を閉じた。
「……ひまり」
次に気づいた時、
頭上から不安げな声で
名前を呼ばれ……
ずっと聞きたかったその声に、
誘われるように
私は瞼を開き、
ゆっくりと顔を上げる。
「……い、……えやす」
目の前にいる家康が、夢かもしれないと思って、名前を呼ぶと……綺麗な翠色の瞳の中に、ちゃんと私の姿が映るのが見えて……流れ出す涙よりも先に、その胸の中に勢い良く飛び込んだ。
「…うっ、……あぁぁぁっ………っ!!」
背中に回された腕のぬくもり。ぶわっと咳出すように涙が溢れ、家康の羽織の襟にしがみつく。そして私は子供みたいに声を上げながら泣き出した。
「ぁぁっ……うっぁぁぁ、っ」
家康は何も言わず、ただひたすら私を抱き締めた腕に力を入れる。もう片方の腕で自分の顔に私の頭を引き寄せると、震える手で優しく触れてくれた。
それが凄く安心出来て、胸が苦しいのか切ないのか温かいのか……もうどれかなんて分からない。
「……ごめん。…ほんとっ…ごめん」
家康は私の耳元で何度もそう繰り返す。その切ない声に余計に涙が溢れ出す。