• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第62章 約束の地へ(17)





《ドォォォンッッッ!!!!!》


手首のぬくもりを感じたまま、耳に凄まじい音が鳴り響き、目を閉じる。




眩しい光が私を包み込み、



思わずギュッと目を閉じた。








「……ひまり」







次に気づいた時、


頭上から不安げな声で



名前を呼ばれ……



ずっと聞きたかったその声に、


誘われるように



私は瞼を開き、





ゆっくりと顔を上げる。






「……い、……えやす」







目の前にいる家康が、夢かもしれないと思って、名前を呼ぶと……綺麗な翠色の瞳の中に、ちゃんと私の姿が映るのが見えて……流れ出す涙よりも先に、その胸の中に勢い良く飛び込んだ。





「…うっ、……あぁぁぁっ………っ!!」





背中に回された腕のぬくもり。ぶわっと咳出すように涙が溢れ、家康の羽織の襟にしがみつく。そして私は子供みたいに声を上げながら泣き出した。


「ぁぁっ……うっぁぁぁ、っ」


家康は何も言わず、ただひたすら私を抱き締めた腕に力を入れる。もう片方の腕で自分の顔に私の頭を引き寄せると、震える手で優しく触れてくれた。

それが凄く安心出来て、胸が苦しいのか切ないのか温かいのか……もうどれかなんて分からない。



「……ごめん。…ほんとっ…ごめん」




家康は私の耳元で何度もそう繰り返す。その切ない声に余計に涙が溢れ出す。




/ 636ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp