第62章 約束の地へ(17)
「ひまり!!!!!」
手の中にぬくもりを掴んだ瞬間、再び時が動き始める。風が吹き荒れ、稲妻が再び地面に向かって突き抜けた。
「家康!危ねぇからっ、そこから離れろっ!!!」
誰かが背後からそう叫ぶ。
自分のすぐ隣で、複数の光がまるで狙っているかのように落下した……。
(誓ったんだ……もう、二度と……)
今度ひまりの手を掴んだら……
「二度と離さないって!!!!」
《ドォォォンッッッ!!!!!》
地面を引き裂くような音。
それが耳元で鳴り響いた瞬間。
目の前に眩しい光が広がる。
ぬくもりだけは、掴んだんだまま……空いた方の腕で前を塞ぎ思わず目を閉じた。
そして次に目を開け、
視界を塞いでいた腕を
下ろした時……。
そこには、
呼吸も忘れるぐらい
心臓が止まるぐらい
幻かと目を疑うぐらい……
天女みたいに
美しい姿の
ひまりが居た。
「……ひまり」
俺は現実か確かめるように、
名前を呼ぶ。
するとひまりの視線が
ゆっくり動き……
「……い、……えやす」
その綺麗な瞳に俺が映った。