第61章 約束の地へ(16)
次の瞬間___
ゴォォォォ………。
あの時と同じように、
唸るような音が鳴り響き……
稲妻が地面に向かって走る。
ゴォォォォゴォォォォ!!
「きたか」
信長様がそう呟いた、瞬間。
ピタリと風も音も止み、
一気にあたりが静寂に包まれる。
「「「「……………」」」」
その場に居た全員が、息を呑んだ。
しかし、
まるで時が止まったように……
ただ、静けさが漂うだけで
前みたいな黒い靄どころか
風も音も……
何もかもが……
消えた。
「……ど…ゆうこ…とだ」
誰かがその異変に気付き、口を開く。
「風や音だけじゃねぇ……雲の流れまで止まって……おいっ!佐助、どうなってんだ!」
「……解らない。……まさか、時間が止まって」
背後から幸村の声と、
佐助の戸惑う声が聞こえる。
(……時が……止まった?)
「……もしかしたらっ!!」
佐助が何か気づいたように、
声を上げ俺の元に駆け寄ってくる。
「もしかしたらっ!今、この瞬間だけ向こうの世界と繋がってるのかもしれませんっ!!」
佐助は本来なら時間差もなく、物凄い速さで向こうの世界とこちらの世界に移動できる道が出来ると。しかしワームホールの力が弱まり、向こうの世界と中途半端に繋がったことで、時が止まったのかもしれないと捲し立てながら話した。
「ひまりさんがこの何処かに、きっと居るはずです!!」
向こうとこちらが確実に繋がるには、彼女を見つけなければならない。
俺はその言葉に、辺りを見回す。
「ひまりっ!!!」
一体どこにっ……。
勢い良く走り出した時。
シャランッ……。
懐から耳飾りが
滑り落ちた。