第60章 約束の地へ(15)
京都への案内板が見えた頃。
青空はすっかり赤く染まっていた。
夕焼け色の空。
落ち着こうとしても、どうしても顔を出す焦る気持ち。早く、早く。大丈夫、大丈夫。心の中で私が繰り返していると、明るい声が救ってくれる。
「この感じだと、夜になる少し前には着くぞっ!」
「本当ですか!?」
良かったな!と、前を向いたまま笑顔を浮かべる運転手さんの姿が、ミラー越しに映る。私はその言葉にホッと、胸を撫で下した瞬間……。突然、気分が悪くなり吐き気に襲われ、慌てて口元を抑える。
その様子に気づいてくれた運転手さんは、一旦車を止め、外の空気を吸えるようにドアを開けてくれた。
「お客さん……もしかして、あんたっ!」
「大丈夫です。……すぐ良くなると思うので」
私がそう言って、力なく笑うと運転手さんは察してくれたのか、助手席にかけてあったタオルケットをお腹にかけてくれた。
「もう京都は目と鼻の先だし、少し休憩しときな」
「……はい。ありがとうございます」
吐き気も大分落ち着いてきた頃……
すぐ近くで一面黄色の花が咲いた田んぼを見て、何となく違和感を感じ運転手さんに尋ねる。