第52章 約束の地へ(7)
《ドクンッ!!》
バサッ……。
その文字を見た瞬間、手から本が滑り落ち静かな館内の床を鳴らす。
(そうだ……確か私は……)
ーーう〜〜ん、なら私は………徳川家康!!
ーーなるほど〜で、で?理由は?
ーー平和な江戸時代を築いた人だからっ!
ーーえっ?理由そこ!!
ーーいいじゃん!ひまりらしくてっ!
《ドクドクドクドクッ………》
(っ!!……な、……にこれ)
今までとは比べれないほど、心臓の鼓動が鳴りガクガクと足が揺れ出す。頭の中が空っぽになったみたいに、真っ白になって……呼吸が出来なくなる。
「ー不撓不屈、徳川家康ー」
《《ドックン!!》》
徳川
「家康……」
私の意識はそこで、消えた。
「ひまりっ!!」
俺は慌てて振り返る。
「お、おいっ!何だよいきなりっ!!俺はあいつみたいに、ぼっーとしてねぇぞっ!」
「家康、ついに幻聴まで聞こえ始めたか?」
後ろに居たのは、幸村と信長様だけ。
(今……確かにひまりの声が、聞こえた気がしたんだけど)
「それより佐助っ!本当にこんな石碑で向こうに居るひまりに、伝わるのかよ?」
幸村は穴を掘りながら、佐助に向かって叫ぶ。
「500年以上先の未来まで残そうと思ったら、これが一番なんだよ」
「本当かよっ!これで後から場所間違えたとか冗談でも言うなよっ!」
俺は石碑に
「約束の地」
と、大きく掘られた字を見上げた。