• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第49章 約束の地へ(4)




「それは写真といって、本人をそのまま写したもので……絵ではありません。見る限りごく最近撮られたものと、前に撮られた物のようです」


「来世には凄い技術が進んでいるのか」


「家康、良かったではないか。それを見て淋しい夜を慰めておけ」


秀吉さんが関心したように呟き、続いた光秀さんの言葉に俺の手がワナワナと震える。


「情報が解りそうなのは、この手帳と就職内定の案内ですね」


佐助はそれに目を通し、紙に何かを書き出すと、再び荷物を全部仕舞い込んだ。



「では何か解り次第、連絡します」



佐助は帰り際に、写真の管理はお任せします、と言って屋根裏へと姿を消した。


「やっぱり忍者なんだな、あいつ」


政宗さんは興味深そうに屋根を見ながら、俺の肩を叩く。


「そういえばお前、この前団子屋の娘と仲良く話をしてたらしいじゃねぇか?」

「……別に、仲良くなんてしてません。言い寄られてたのを助けたら、向こうがしつこく話してくるようになっただけで……」


あの野原に行くたびに寄ってきて、正直迷惑している方だ。ひまりと同じ名前で何となくきつく言えないだけなのが本音。


「なら、いいが……」


政宗さんは安心したように、ため息を吐くともう一度俺の肩を叩き、ひまりを悲しませるようなこと、するなよ、そう言い残して部屋から出ていった。




(相変わらずお節介。……大体ひまり以外興味ないし)




俺はさっき佐助から奪い取った写真を取り出す。友人に囲まれ、笑っているひまりを見て胸が少しだけ痛んだ気がした。


今もこうやって笑っているのか……


また、泣いているのか……



(ひまりに会いたくて堪らない……)



ここに居る俺には、何も解らなかった。




/ 636ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp