第49章 約束の地へ(4)
「それは写真といって、本人をそのまま写したもので……絵ではありません。見る限りごく最近撮られたものと、前に撮られた物のようです」
「来世には凄い技術が進んでいるのか」
「家康、良かったではないか。それを見て淋しい夜を慰めておけ」
秀吉さんが関心したように呟き、続いた光秀さんの言葉に俺の手がワナワナと震える。
「情報が解りそうなのは、この手帳と就職内定の案内ですね」
佐助はそれに目を通し、紙に何かを書き出すと、再び荷物を全部仕舞い込んだ。
「では何か解り次第、連絡します」
佐助は帰り際に、写真の管理はお任せします、と言って屋根裏へと姿を消した。
「やっぱり忍者なんだな、あいつ」
政宗さんは興味深そうに屋根を見ながら、俺の肩を叩く。
「そういえばお前、この前団子屋の娘と仲良く話をしてたらしいじゃねぇか?」
「……別に、仲良くなんてしてません。言い寄られてたのを助けたら、向こうがしつこく話してくるようになっただけで……」
あの野原に行くたびに寄ってきて、正直迷惑している方だ。ひまりと同じ名前で何となくきつく言えないだけなのが本音。
「なら、いいが……」
政宗さんは安心したように、ため息を吐くともう一度俺の肩を叩き、ひまりを悲しませるようなこと、するなよ、そう言い残して部屋から出ていった。
(相変わらずお節介。……大体ひまり以外興味ないし)
俺はさっき佐助から奪い取った写真を取り出す。友人に囲まれ、笑っているひまりを見て胸が少しだけ痛んだ気がした。
今もこうやって笑っているのか……
また、泣いているのか……
(ひまりに会いたくて堪らない……)
ここに居る俺には、何も解らなかった。