第48章 約束の地へ(3)
「お疲れ様でした!お先に失礼します!」
仕事を終え、お洒落なショーウィンドウを眺めながら街を歩き駅に向かう。しばらく歩いていると着信音が聞こえ、私はカバンの中から携帯を取り出す。
『一件の新着メール』
そう表示された画面を開くと、
部長から夕ご飯のお誘いがきていた。
(あっ!この店、前から気になってたんだよねっ)
予定が特にない私はすぐにオッケーの返事をして、その店に向かうために方向転換。軽い足取りで再び歩き出す。
週末の夜の街には、家族連れや学生、会社帰りの人、カップル達で溢れていて……すれ違うたびつい目で追ってしまう、自分がいた。
仲良く肩を並べて歩く二人。
手を繋ぎながら買い物をしたり、ご飯を食べながら他愛のない話をしたり、そんな風に今から二人の時間を、過ごすのかもしれない。
(いいなぁ〜……私だったら……)
「……っ!!!」
また、急に溢れそうになった涙を慌てて止める。
頭の中で
誰かの顔が浮かんだ気がした。
ほんの一瞬……
ほんと一瞬で……
浮かび上がる前に消えてしまった。
(手を繋いだり)
(一緒に買い物したり)
(ご飯食べながら笑いあって)
(でも、もし出来るなら……私は…)
ドクンッ……
(確か前にもこんな風に………)
「っ!!」
そう思った瞬間、突然頭が重たくなってズキズキと痛み出す。心を落ち着かせようと、震えだす身体を自分で抱き締めようとした時。