第7章 願い…〜家康side〜
永い夢が覚める前、最後にひまりの笑顔が浮かんだ気がした。
「……んっ……っ!」
「家康っ!」
けど、目覚めた俺の前には笑顔とは正反対の、今にも泣き出しそうなひまりが居て……
俺はまだ、自分の弱さを知る。
(……確か、あいつらにやられて)
「よかっ、た。本当に良かった」
心底ホッとした表情で肩を震わし、涙を流すひまり。
俺はその涙を拭おうと、手を動かそうとした瞬間、強烈な激痛が身体中に走り思わず、苦痛の声をあげる。
「待ってて!今、皆んなを呼んでくるからっ!」
ひまりが廊下を走る音が、まだハッキリしない意識の中、聞こえる。
まるで石にでもなったかのように、自由の効かない身体に俺は何をぶつけて良いのか解らず、感情だけで微かに力が入った拳を、思い切り床に叩きつけた。
「……く、そっ」
まだ、こんなにも弱い。
握りしめた拳に爪が食い込む。
焦りと、怒りと、情けなさと、色んな感情が混じり合って、ただひたすら痛みに耐えた。