第45章 捕らわれた未来(18)
ーーもしかしたら……移動すれば回避出来るかもしれない、と彼女に話しました。
だから佐助も朝には戻ってその可能性に賭け、一緒に行動する予定だったと。
ーーでも、彼女は先に行ってしまった……また、あなたに誤解されるのを恐れたのかもしれない。
ーー……あの夜、彼女はあなたと離れるかもしれない恐怖に取り乱しました。彼女を落ち着かせる為とは言え、触れた事はお詫びします。
しかし、俺も少なからず彼女に惹かれていた。その気持ちには嘘をつけません。
佐助は全てを話した後、最期にそう言った。
あの夜以来、一切消えていた思い出が一気に俺の中で蘇り胸を締め付ける。
初めて名前を呼んだ日。
笑い合った日。
抱きしめた日。
心を通わせた日。
初めてひまりに触れた日。
いっぱい泣かせて、
その分いっぱい笑顔を見た。
誰にも渡さない。
二度と離さない。
そう、誓った。
なのに俺は……
ひまりの心を見ようとせず、
失うかもしれない恐怖に何も見えなくなった。
「もし、本当に天罰が下るなら……」
それはひまりじゃなくて、
俺の方だ。