第45章 捕らわれた未来(18)
家康へ
家康へ、って書いても、もしかしたら佐助君が読んでいるのかな?
何か変な感じがするけど、でもこれは家康に宛てた文だから……ちゃんと私の気持ちを聞いて下さい。
故郷のこと、ううん。私が居た世界のことずっと言えなくてごめんなさい。家康はきっと本当の事を話しても、受け止めてくれるって……信じてくれるって思ってた。
でも、言えないままいつの間にか時間だけが過ぎていて……昨夜、家康に辛い思いをさせてしまってから……凄く後悔しました。
本当にごめんなさい。
もし、神様が許してくれて……この世界に居れることが出来たら、必ず帰ってきます。その願掛けに耳飾りを一緒に置いていくので、また懐から出してね。
もし、帰ってくることが出来なかったら……その時は、私のことは忘れて家康が信じる道を突き進んで下さい。
家康は本当に凄い人なんだよ?
必ず生きて、必ず道を辿ってくれたら私は時を越えて、家康の存在を知ることが出来るから……
それだけで生きていけるから。
ごめんね。
ありがとう。
家康にいっぱい愛して貰って、一生分の幸せを貰えた私は……天罰でも何でも受ける覚悟は出来ています。
大好きだよ。
ひまりより