第44章 捕らわれた未来(17)
アジトを襲撃され、何とか命さながら逃げてきた顕如達は一旦身を隠す為、山奥にある寺へと向かう。
「顕如さま、もう少しで着きます!」
「……まさか、織田と上杉が手を組むとは……計画が台無しだ」
「まだ、今川の残党が残ってます!寺で落ち合いもう一度策を練りましょう!」
「ちょっと待て……あの娘……」
ふと、視界に見覚えのある女が見え立ち止まる。
「どうやら……まだ見捨てられた訳ではないようだな」
闇に薄気味悪い笑い声が響いた。
私はきっと、神様を怒らせてしまったのかもしれない。
200年以上続く平和な世を築き上げた、徳川家康を愛し……私のせいで何度も危険な目に合わせてしまった。
浪人から助けて貰い、それがきっかけで命が危うくなる怪我を負い、毒の矢を射たれ、一人で敵地に乗り込んで……
また、私の為に迷わず命を投げ出そうとして。
私が居たから。
私のせいで。
私が側にいる限り
歴史を
大きく変えてしまう危険があった……
だから……
きっと……
私だけ世界に戻そうと、したのかもしれない。
神様のイタズラでも
気まぐれでもなく
意図的に……
勝手に連れてきて
勝手にこれだけ好きにさせて
勝手に最後は連れて還る……
勝手な神様の天罰に
それでも私は
家康に出逢えたこと
家康を好きなったこと
愛してもらったこと
沢山幸せにしてもらったこと……
全てに……感謝しています。
だから
そんな顔しないで…
「ひまりっ!!!!!」
天邪鬼な家康に
涙なんて似合わないよ?