第40章 捕らわれた未来(13)
城の警備の奴らが騒ぐ前に忍び寄り、切り倒していく。
「おまっ……くっぁ……」
慎重に足を進めながら、死なないように急所を外す。
(ひまりっ!)
迷路のような抜け道を走りながら、聞いた曲がり角を曲がり先へ急ぐ。すると少し離れた場所から、悲鳴のような叫び声が微かに聞こえ、足音を消しながら走る速度を上げる。
ーー当主、自らひまりの番に?
ーー……謙信様、自分では気づいてはいませんが、どうやらひまりさんに惹かれて始めているようで。その証拠に仕事の合間を見ては、彼女の元に足を運んでいるみたいです。
佐助の言葉を聞いて、嫌な予感が一気に押し寄せた。女嫌いの上杉だから、その辺の心配はないと……何処かで甘い考えを俺はしていた。よくよく考えたらひまりに惹かれない男なんて居るはずがない。
(もし指一本でも触れたら、死ぬより酷い目合わせてやる)
「ぐっ!………」
(こいつで最後だな)
地下に足を踏み入れた瞬間。
「いやぁぁぁ!家康っ!家康っ!!」
ひまりが泣き叫びながら、
俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、
視界に上杉に組み敷かれ
必死に抵抗をする姿が
見えた。
「私に触れていいのはっ!!……家康だけなんだからっっっ!!!!」
震えた手で護身刀を持ち
乱れた着物から
白い肩が覗く。
俺は柵の隙間に手を入れ
そっと引き寄せた。
カシャンッ!
「ひまり」