第40章 捕らわれた未来(13)
林を突き抜け、賑やかな城下に辿り着く。俺はひと気のない裏道を通り、城の裏手に回り様子を伺う。
(……見つかるのは最小限に抑えたい)
もし俺が侵入した事が解れば、ひまりの身が危なくなる。それは一番避けなければならない。
(恐らくひまりは地下牢に居る)
これだけ馬鹿デカイ城なら、そこに繋がる抜け道が一つや二つはあるはずだ。
「……やはり、ご無事でしたか」
様子を探りながら頭の中で策を練っていると、音もなく突然現れた二人組に俺は警戒をし、咄嗟に身を構える。
「げっ!まじかっ!まさか、幽霊じゃねーだろうなぁ」
「……幸村、大声で失礼なこと言うな。……家康公、ここで騒ぎを起こしたら大変なことになります。落ち着いて下さい」
「……なら、俺に何の用が?あんたは誰か知らないけど、そっちの男は知ってる」
武田信玄の腹心、真田幸村。まさかこの春日山に、居るとは思ってなかった。
「……だったら、どうした?」
「だったら、斬り殺すだけだけど?」
俺は真田と睨み合い、いつでも刀が抜けるように鞘に手を添える。するとその間を割るようにメガネを掛けた方の男が無表情のまま、一歩前に踏み出した。