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イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第39章 捕らわれた未来(12)




「いやぁぁぁ!家康っ!家康っ!!」

「……あやつは死んだ、忘れろ」


謙信は顔を横に向け、
抵抗する私の顎を掴み自分の方に向ける。


「家康はっ、絶対生きてるっ!」


だから……



ーー……俺が居ない間の虫除け。ひまり危なっかしいから。


ーーそ、んなっ……誰にも触らせたりしないよっ!




最後に抱かれた日の会話。
その記憶と涙と一緒に溢れ出す。



だから……



(い、え…や…す、だけ……)




「ふれ……て、いいの…はっ」




迫ってくる鋭い目。





「私に触れていいのはっ!!……家康だけなんだからっっっ!!!!」





私の叫び声に一瞬腕の力を緩めた謙信。その隙に自由になった腕で押し返し、素早く懐の短刀を取り出す。


そして向き合うようにしてそのまま後ろに下がれば、背中と柵がぶつかった。



「おま、え………」




「えっ………』



まるで幽霊でも見るように目を見開く謙信。

その瞳は明らかに私じゃなく……

後ろに向けられていて……






突然






柵越しに






ぬくもりを感じる……







私の胸の前に







手が伸びてきて








そっと







私の身体を包んだ。







カシャンッ……





震える


手から短刀が滑り落ちるのと同時に





私の涙も滑り落ちた。







「ひまり」







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