第39章 捕らわれた未来(12)
俺と幸村は城から出て、城下町の外れにある林の中を突き進みながら話す。
「おいっ、佐助!これからどうするつもりだっ!」
「何とか家康公と連絡を取って、ひまりさんを救出して貰う」
「家康公って……昨日、死んだって報告お前も聞いただろうがっ!!」
死んだ奴にどうやって助けださせるんだよっ!!
「………………」
幸村の言葉に俺は黙り込む。
(一昨日、捕まったひまりさんに会って俺は決意した)
ーーどうして、佐助君と幸がここに……。
何にもない檻の中に入れられたひまりさん。そんな彼女にとって、俺達の存在は大きかったはず。頬から流れる涙がその事を伝えていた。
ーー……黙っていてごめん。俺の上司は謙信様なんだ。詳しい話は今はまだ出来ない。
ーー……きっと、何か理由があるんだね。
ーーうん……だから、俺は君をここから出してあげる事は出来ない。
ーーそっか……でも私なら大丈夫だよ!何とか自力で頑張ってみるから!
本当は不安でいっぱいなはずなのに、ひまりさんは俺を責める事もなく、涙を流しながらはにかんだ笑顔を見せてくれた。
ーーその代わり俺は家康公を探して、ここまで案内をする。
「えっ……」
その言葉にひまりさんはキョトンとした表情で、不思議そうに俺を見たんだ。何で知っているの?そう瞳は語っているのが分かり、俺は少し緩めた……表情筋を。