第19章 友が為
「__それらを考慮すると、出陣はしばらく控えた方がいいやもしれん。無闇に攻め入ったとしても、またさらに蠱毒の被害を広めるのは明白。となると…」
!!
高杉はハッとなり、辺りを見渡す。
寺内の渡り廊下で、桂と立ち話をしている最中だ。
さっきまでいた場所とは少し違う。
(夢、だったのか?)
「どうした高杉?」
桂は高杉の慌ただしい様子に首を傾げる。
「……いや、何でもねェ」
高杉は歯切れの悪い返事をする。
よく考えりァ、そもそもこれァ"夢"小説だ。
"上の奴"(作者)が思うがままに作る何でもありの世界。
急に話し始めるわ意味深なことを言われるわ。
掌で踊らされんのァ、学園モノで懲り懲りだっつうのに。
(身勝手過ぎるな……ん?)
そういや、アイツも確かに……
『これからさらに、私の身勝手さに付き合ってもらうことになると思う』
アイツも意味深なこと言い残しやがったな。
これから、一体何をおっ始めるってんだ…?
「おい。聞いているのか?」
「!」
桂に言われて高杉はハッとする。
「あ、ああ。すまねェ」
「さっきから上の空だが。そんなに先生の話がつまらないか?」
「いつから授業受けてたんだ俺ァ?」
「もしや。ウンコなら休憩時間に行っておけば良かっただろう。周りの目が気になるなら心配するな。俺も一緒に行ってやるから」
「どこで優しさ発揮してんだよ。ちゃんと他の生徒のために授業しろよ。いやそもそも授業じゃねェよ」
桂のボケ通しに高杉はツッコミを入れ続ける。
「……だが、呆けてしまうのも無理はないな。ここ数日、皆疲れ切っている。蠱毒の蔓延によって、精神的にも落ち着かない状況だからな」
「……ヅラ。俺ァ、疲れちゃいねェよ。むしろ、じっとしていらんねェくらいだ」
「!」
高杉は低い声で意を唱え、今もどこかでのうのうと高みの見物をしている見えない敵に対して、激しい怒りと憎悪を抱く。