第19章 友が為
「……」
高杉は改めて思い直した。
銀時と雅は、自分で言う桂と同じように、ずっと以前から同じ塾にいた旧友。
しかも、反幕府思想を掲げているというレッテルを貼られ、行く宛ても無く3人で彷徨ったこともあると、松陽先生から聞いたこともあった。
超人で大人な松陽ならまだしも、唯一無二の塾生同士でお互いの存在が、時には支えになっていたのかもしれない。
(確か銀時も雅も、前は孤児で、共に松陽に拾われたガキだった……)
そんな似たような境遇の奴らが、全く違ェ性格ながらも、自分なりに互いに気遣って、あの塾で生活を共にしてきたってわけかい……
高杉は今更になって理解した。
雅にとって銀時は弟みたいで、血が繋がらなくても家族のような存在なのかもしれない。
本当の家族を無くして、その先に見つけたまた違う繋がり。
その分岐点となったのは、銀髪色の変わった小僧。坂田銀時だった。
そんな大事な奴を目の前で敵にやられて、今のアイツは相当に落ち込んで……
高杉は深く息をして、苛立ちと共に自身の髪をかく。
(雅にとって銀時は特別なんじゃねーかと、俺ァ勝手に競争心燃やして、勝手に嫉妬して……)
俺がアイツのことが好きだから、銀時に対して下心を持っちまって……総督が聞いて呆れるぜ。
雅と銀時は自分が思っているような関係ではないと、少し安堵する一方、高杉は自分の愚考に恥じらいを覚える。
(だっせェじゃねーか。俺ァ……)
一方で桂と黒子野は話を進めていた。
「銀時さんの危篤を前にして、きっと雅さん、体力的にも精神的にもお疲れの様子ですから、話を聞くなら……明日の朝にでも…」
「そうだな。雅もかなり疲れているはずだ。今夜はそっとしておこう。いいだろう?高杉」
「あ、ああ。もちろんだ」
黒子野は一例をして、その場を後にした。
「まあ、黒子野が話してくれた通り、アイツには銀時の治療も含めて、今回の件では相当無理をさせている。明日改めて、アイツに俺から話しておこう」
「……その前に、話しておきてェことがあらァ」
「?。雅にか?」
高杉は顔を上げた。
「……アイツに、俺の本心を伝えてやる」