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君想ふ夜桜《銀魂》

第13章 青い髪、赤い血



(今も、そうだ。コイツ…)

俺の腕を、こわれものを触るみたいに優しく触れた。

いつも態度は冷たくても、手つきは優しかった。

高杉は隣の銀時たちとは反対の、木が生い茂ってる道の外れの方に顔を向け、顔を赤くしていた。


「さあ。もうすぐですよ」

気が付けば、空はオレンジ色の夕暮れ時を表し、人がガヤガヤ騒ぐ賑やかな音が聞こえてきた。

銀時は嗅ぎ慣れた匂いを察知した。

「くんくん。この甘ったりィ匂いは…綿菓子だ!」

綿菓子ィィィ!!

皆よりも先に行ってしまった。

「おい銀時!」

桂が追いかけていった。

「やれやれ。血気盛んなのは結構ですが、私しかお金持ってないことを忘れてますね」

松陽はクスクス笑った。

「……」

雅は町の人ごみを眺めた。

相変わらず無表情なのだが、少し強ばっていた。

大勢の中に入るのに少し緊張しているらしい。

松陽はそんな彼女の性格を知っていたので、顔を見ずとも分かっていた。

「では私たちも行きましょう」

ギュッ

松陽は雅の左手を握った。

「!」

雅はビックリしたが、松陽の笑顔を見て気が楽になった。

「晋助。雅の右手をお願いします」

「!」

「真ん中に挟めば、雅も緊張せずにあの中で慣れてきますから」

松陽先生の頼みとなると頭が上がらなくなる。

「わ、分かったよ」

高杉はそっぽ向いて、雅に自分の左手を差し出した。

「……」

雅はその手を取って、3人は人混みの中を歩き始めた。

周りには自分たちとは別で、大人と子供が手をつないで楽しそうに歩いている者も多い。

周りから見たら自分たちは、親1人と子供2人に見えているのかもしれない。

(やはり…人混みの中は難しい…知らない人ばかりで…)

一方、高杉はというと、別のことで緊張していた。

(まさかまた手ェ握るとはな…)

自分が唯一対面して緊張してしまう女子、雅と手をつないでることだ。

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