第12章 たとえ終わっても…
「いや~『君想ふ夜桜』も300P突破ですね銀さん!」
「ん?おおう。今回はやけに元気いいな?前回の落ち込みようは大丈夫なのか?新しい眼鏡にでも変えたのか?」
「いや変えてません。変えたくても、アンタの安月給じゃ買えねーわ」
新八が元気なのにはワケがあった。
「だって来年には映画銀魂もやりますし、それに落ち込んでちゃ何も始まらないって改めて思ったんです」
「でも始まるどころか、原作は去年終わっちゃったアル。私は、何か寂しいネ」
新八とは対照的に、神楽はかなり落ち込んでいた。
室内なのに傘をさすほど気分が沈んでいた。
「確かに、終わる終わる詐欺がもう詐欺じゃなくなって、目次で隣り合わせになっていた他のジャンプ作品さんはどんどん完結していって、世代交代で“鬼滅の○”や“約束の○バーランド”とか変わっていくのは、僕もちょっと寂しいな…」
新八は神楽の背中に手を優しく置いた。
「でも作者さん言ってたよ。「たとえ世代が変わろうと、私はずっと銀魂を愛している。自分が今まで愛した作品をこの夢小説を通して、この先もずっと愛し続けたい」って。きっとこの先も、銀魂を好きでいてくれる人はいるはずだから大丈夫だよ」
新八はこのように人を慰めるためにいいことを言うことが上手い。
チャームポイントは眼鏡や着物の青ラインだけではないのである。
さすが3回連続ミラクル8位。
「いや後半いらねーだろ!眼鏡も人気投票も関係ねーだろッ!!地の文で何さり気にディスってんだ作者!」
そしてこのツッコミの鋭さも、彼に並ぶ者はいない。(ツッコミはね)
「オイィィッ!!“はね”って何だよはねって!()で本音漏れてんじゃねーか!とってつけたような言い回しじゃねーか!」
こんなやりとりをしているうちに、神楽のテンションは普通に戻った。
「何か新八のやりとり見てたら、沈んでた自分が馬鹿らしくなってきたアル。それに作者のモチベーション次第で、10年後の晴れ舞台があるかもしれないなら待つことにするヨ」
「神楽ちゃん…」
子供のようにだだをこねることはなく。神楽も中身は立派な大人になったようだ。
「あ、でも夢小説の活字世界じゃ銀魂名物モザイクがないのは物足りないけどネ」
「いや、名物にしちゃまずくない?」
「あのぅ~、俺今回やけにセリフ少ないけど気のせいなの?」