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君想ふ夜桜《銀魂》

第2章 何事もタイミングが肝心



「じゃが、気持ちくらい貰ってもいいんじゃのうか?」

「坂本。貴様は知らんと思うが雅も相手を思って…」

雅は手のひらを桂に向けて止め、言ってもらうより自分が言った。

「周りが私のことをどう思おうとどうでもいい。好きにすればいい。ただ…」

そして断言した。


    ・・・・・
「私は、そんなもののために“ここ”(戦場)にいるわけじゃない」


黙って自分の部屋へ戻っていった。

「…分かっただろう。アイツはそういう奴だ」

辰馬と桂も寝床へ戻った。

(雅さん…)

黒子野は雅の遠ざかっていく背中を眺めた。

(高杉さんが言った言葉とそっくりそのままだ)

     ・・・・・
“アイツはそんなもんのためにここにいるわけじゃあるめェ”


高杉さんが雅さんの気持ちを一番分かるのでしょうか?

お二人の間に何が…

「眠ィから俺は寝るわ」

銀時もあくびをして寝床に行った。

残ったのは高杉と黒子野だけ。


「しまった…!僕としたことが」

黒子野はお菓子渡し損ねてしまった。

それをスッと高杉に手渡した。

「あの高杉さん。これ雅さんに渡してくれませんか?」

「何で俺だ?」

「高杉さんが彼女のことを一番思っているんだと」

「誤解を招くような言い方止めろ。お前が渡せばいいだろ」

「…分かりました」

しかし、高杉は菓子を持つ手を離さなかった。

「いや、やっぱり渡しておく」

「え?でも今…」

「てめェもそっちの方がいいんだろ?」

「…はい!よろしくお願いします」

この時高杉は、また思い出した…





回想
〈松下村塾〉

結果は…高杉が勝った。

「ハァ…ハァ…」

(女相手にここまで苦戦するとは…)

高杉は銀時との試合以来、息切れするほど疲れ切った。

「貴様、名乗れと言いながら最初に自ら名乗らないのは武士としてどうなんだ?」

桂は少しご立腹の様子で言った。

「高杉晋助……アンタのことは知っている…」

「!」

女は全く疲れておらず、竹刀を片手に持ち、高杉にこれだけ言った。

「試合楽しかった。ありがとう…」

表情を変えず、そのまま道場から抜けた。

(…そう思ってるようには見えねェが)


 この時も、アイツは笑わなかった。

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