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東京恋物語

第1章 プロローグ


この日の仕事終わりに洋子は同僚で親友の綾乃から”夕ご飯食べていかない?”と誘いがあった。
「いいわよ。ちょうど暇だし。それでどこに食べに行く?」
「私のおすすめの場所があるんだ。案内するわ。」
「わかったわ。」
洋子は綾乃に連れられてとある喫茶店に足を踏み入れた。
「綾乃はここのお店よく来るの?」
洋子は不思議そうに綾乃に聞いた。
東京に上京して間もないとはいえよくこんなお店を知っているなと感心したからだ。
「まあね。時々ここは来るけどお店のおばちゃんが人情溢れていて面白くてね。あっ、味も最高なのね。兎に角中に入ってよ。」
カラーン
扉を開けて中に入ると中は暖かな色で包まれていた。
「いらっしゃい。」
威勢の良い女の人の声が店中に響き渡る。
「何名様ですか?」
女性が洋子に聞いた。
「2名です。」
「2名様ご来店です。」
女性はそう言うと洋子達を席を案内した。
「どうも。あれ?えみこおばちゃん、新入りの子入ったんだね。」
綾乃は席に着いて女性に聞いた。
この女性は老舗の喫茶店を営む芦沢笑子さんで、愛称はえみこおばちゃん、えみこのねえちゃん。笑子さんはこの喫茶店は両親の代から営んできていたから~と潰したくない思いで、受け継いでいる。
「ああ、あの子はこの間からアルバイトに入ってもらっている田部チヅルちゃんね。女学生やりながらだから、夕食時と休日に手伝ってもらっているんだ。」
「へぇ~。凄いわね。」
洋子と綾乃は感心して頷いた。
「今、お冷をお持ちしますね。注文が決まりましたらお知らせください。」
「わかりました。ありがとう。」
笑子さんはお辞儀をして台所の方へと入って行った。
「メニュー何にしようか?」
「迷っちゃうなぁ。」
洋子は綾乃と料理を決めて注文した。
「私はスパゲッティーナポリタンで。あと食後のお菓子でアイスクリームお願いします」
綾乃は笑子さんに笑顔で言った。
「えっと私は生姜焼きセットとアイスクリームで。」
「かしこまりました。」
洋子も注文してそれからは2人で話し合った。
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