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【刀剣乱舞】箱庭男士

第2章 おにぎり国広


マウスポインタの矢印の先には



山姥切国広。



私がこのゲームで一番最初に選んだキャラクターが彼だった。


そのまま一番長く隊に入れていたので思い入れが深い。

画面が暗転した後に、いつもと変わらぬ彼の立ち姿。


「山姥切、は、はじめまして・・・」


恐る恐る言葉を掛けてみる。





が。


返事がない。


「えぇと、聞こえてる?」

しばらく待ってもやっぱり返事がない。



思わず彼の頬あたりをクリックしてみると



「おい、やめろ」


「うわ、ご、ごめんなさい!」


「俺を玩具か何かだと思ってるんだろう」


ち、違うよ・・・でも何か怒ってる・・・?


「あんたに常々言いたかったことがある」


「な、なに・・・?」


思わず背筋を直して、耳を澄ませる




「あんた、俺の布を触りすぎだ」




えっ




「特にここの所。触ったって何も起きないからな」


彼が指さして見せたのは、彼の目の上あたりの布。
そう。すこしだけ穴の開いたそこをかつて私は連打した事がある。


それも一度ではない。


「ご、ごめん生きてると思ってなくて」


「ほぉ・・・」


「いやあのだからやって良い事ではないけど」


「じゃあ何か?俺が写しだからそうして良いとでも?」


「ちち違うそれは絶対に」


しどろもどろの私を鼻で笑う山姥切。




「あんた・・・面白いな。嫌いじゃない」


「え」


「あんたにはこれでも感謝してるつもりだ。俺なんかをずっと隊の最前列に居させてくれて」



画面の向こうの山姥切が少しだけ笑ったようにみえた。
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