第1章 大切な君へ【藤堂平助】
おにぎりをもらった挙句、私の素性についてまでも聞いてくれた彼の名前は【藤堂平助】というらしい。
年も近いようなので私は彼のことを平助君。と呼ぶことになった。
平助君は私のことを沙奈と呼ぶようになった。
私は新撰組の屯所の女中になった。
平助君はいろいろなことを教えてくれた。
『新撰組ってのはなぁー!うるせぇやつばっかだけどすげぇんだぜっ!!』
新撰組の話をする時はいつも嬉しそうに話していた。
屯所の中の、どこになにがあるのか……や
私の仕事も教えてくれた。
教えてくれるのはいいのだが……なにやら隊士の視線が気になる。【この娘は誰だ!?】って目で見られてますよね……絶対。
『平助君……私のこと…他の隊士のみなさんに伝えた?』
そう尋ねると平助君は慌てて
『いっけねっ!!土方さんたちにも伝えてねぇ!!伝えてくるなっ!』
そう言って平助君はどこかへ走り去ってしまった。私をおいて。