第1章 大切な君へ【藤堂平助】
桜が舞い散る夜。私はゆく当てもなく。
ただ歩いていた。 京にくるまでにお金は使い果たしてしまい食べ物を買うお金も宿に泊まるお金もすでになかった。
夢であった死ぬまでには京の桜を見る。叶えられたのだからここで死んでもいいや。
あぁ。恋したかったな。
そんなことを思いながら、私は道の隅に座り込み命が終わるのを待とうとしていた。涙を流しながらうずくまっていると誰かが私に近づいてきた。
あぁ。物取りかな?私にお金なんてないのにな………
同い年くらいの少年だった。刀を持っている。
私……殺されちゃうのかな?後先短い人生なんだから殺されちゃってもいいか。
そんなことを思っていると思いもしない言葉が帰ってきた。
『おい?大丈夫か??』
京にきて、私を心配してくれる人などいなかった。
その言葉を聞いた瞬間私は安心して、眠りについてしまった。