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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第7章 二人の宝物


新緑の緑が輝く季節。

日が昇るのも少しずつ早くなり、
気分も自然と清々しい。

「おはよう、凛さん。」

「おはよう、佐助くん。」

手ぬぐいで汗を拭いながら
道場から出てきた佐助。

「いつも付き合って貰ってごめんね。」
はい、冷たいお茶。と凛が
湯呑みに入ったお茶を渡す。

「いや、いいんだ。」
楽しそうな謙信様を見てると
不思議と苦にはならないから、と
湯呑みを受け取り一気に飲み干す。


「そっか。ならよかっ‥」

ドターーーーン!!

凛と佐助はビクッと驚き、
何事かと、音のした方を見やる。

視線の先には吹っ飛んだ道場の扉と
その上に仰向けに倒れた子供の姿。


「虎千代!!」

凛は我が子の名前を叫び
急いで駆け寄ろうとすると、
道場の入り口の奥から
ユラリと謙信が現れた。

「脇が甘いな、虎千代。」
ゆっくりと虎千代に歩み寄る。
その口は美しく弧を描いていた。

「‥もう一回だ、父上。」

「ならばよし。来るがいい。」
謙信は優雅に木刀を構え直した。


虎千代は歯を食いしばり
立ち上がると再び、謙信に向かっていく。

「虎千代くんは凄いよ。」
さすが、謙信様の息子だけある。と
感慨深そうに佐助が呟く。

「あんなに小さかったのにね。」

もうすぐ五歳を迎える虎千代は
何度倒されても、転んでも
小さな身体で謙信に向かっていく。


「虎千代くんが生まれた日が、
昨日のように思い出せるよ。」
フッと佐助は優しく微笑んだ。

「うん。ホントにね。」
(虎千代が産まれた日‥。)


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