第5章 恋敵は突然に
【お邪魔虫ルートおまけ】
幸村を犠牲に逃げ延びた佐助は
静かな廊下を歩く。
「おっ。佐助じゃないか。」
「あ、信玄様。」
「謙信は大丈夫なのかい?」
凛の事になると目の色を
変える謙信を思い出し、
愉しそうに笑う信玄。
「幸村を置いてきたので大丈夫です。」
彼の犠牲は忘れません。と
メガネの端を上げる。
「そういえば宴を開こうと思うんだが」
「宴ですか?」
佐助はそこで、ぽんと手を打つ。
「ああ、謙信様の勝利祝いですね。」
なるほど、と納得する佐助。
「では、手配しておきます。」
「ああ、よろしく頼むよ。」
そうして、二人はすれ違う。
遠くに聞こえた幸村の
絶叫は、聞こえないふりをした。
end.