• テキストサイズ

【イケメン戦国】時をかける妄想~

第5章 恋敵は突然に


とある昼下がりの春日山城。
空は晴れ、心地よい風が吹く。
庭の桜は、すっかり花を散らし
活き活きとした葉桜に姿を変えている。


縁側で凛の膝枕に寝転がり
穏やかな時間を過ごす謙信。

頭上からは凛の鈴のような
可憐な声が聞こえてくる。
時折、コロコロと笑う声に
謙信の心はほだされていた。


「そういえば、先日から来られてる
庭師さんの息子さんには会いましたか?」

ピクリと謙信の耳が反応する。

閉じていた目を薄っすらと開き、
凛を見やる。

「知らんな。」
(俺以外の男の話とは‥気に食わん。)
謙信の胸がざわつき始める。




謙信はムクっと起き上がり、
凛の横に座り直す。

凛は突然起き上がった謙信を
キョトンとした顔で見つめた。

(そうやって俺だけを見ていれば良い。)
しかし、庭師の息子とは‥。
やはり凛を誰の目にも
触れさせぬようにするべきか‥。

いや‥それでは凛の
笑顔が見れなくなってしまうな。


「‥謙信様?」
こちらを見つめたまま
何も言わない謙信に
不安げに声を掛ける凛。

「どうかしましたか?」
凛は、おずおずと
謙信の顔を覗きこむ。



「凛。」
名前を呼ぶのと同時に
チュ‥と唇を掠めとる。

瞬間、驚いた表情から
途端に凛の顔が朱に染まる。

「‥もう!謙信様っ!」


怒ったようにプンプンと頬を膨れさす、
その表情さえ誰にも見せたくはない。

スッと凛の頬に手を添える。


「‥お前は俺だけを見ていろ。」
(でなければ、お前を閉じ込めかねん。)
二色の瞳が凛を捉える。

「私には謙信様だけですよ。」


凛は、ふふふっと
可憐な華のように微笑んだ。


/ 227ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp