第3章 【R18】交差する想い
【おまけ】
「やっと笑顔が見れたな‥。」
家康と凛が城下に向かうと、
その姿が見えなくなるまで見送り
一人心地る秀吉。
「‥まるで本物の兄のようだな。」
ククっと笑みを浮かべ光秀が姿を現す。
「お前も心配なら素直になれ。」
秀吉は一瞬ムッとしたように
眉間に皺をよせた。
「俺は心配などしておらん。」
面白いものが見れたからな、と続ける。
あの御館様に刀を向けるなど
今までの家康ならあり得なかった。
「そう思うだろう?‥佐助。」
「‥何?」
秀吉が困惑するのと同時に
天井の板が一枚外れ、
もはや見慣れた忍者が顔を出す。
「いえ、僕は心配してましたよ。」
さすが光秀さん、バレてましたか、と
ポーカーフェイスは崩さすに
飄々と答える佐助。
「‥おまっ!いつから!」
思わず声を荒げる秀吉。
「昨晩からお邪魔してます。」
居心地が良いと言わんばかりの表情で
天井から秀吉に一礼する。
「凛さんの笑顔も見れたので
これで失礼します。」
「‥また来い。」
光秀はニヤリと愉しげな笑みを返す。
「これにてドロン。」
再び板がはめられ、佐助は
音もなく天井裏に消えた。
「‥あいつ安土城をなんだと思ってるんだ。」
佐助の度重なる侵入に
警備は強化したばかりだ。
「酒でも交わして見たいものだな。」
隠密として興味がある。
それに、あの量の罠をどうやって
かいくぐったのか確かめねばな、と
光秀は歩きだした。
それを見やると、深いため息をつき
「おい、光秀。俺も行くぞ。」
秀吉は光秀の後を追った。
まあ、今日くらいは許してやるか。
あの笑顔が見れたんだからな。
空は、青く晴れ渡り
気持ちが良い一日が始まった。
end.