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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


夜中も過ぎた丑三つ時
安土城の広間には明かりが灯り、
武将達が顔を揃えていた。

「‥眠い‥。」

「おいっ、家康!寝るな!」
秀吉が家康の顔を叩く。

「ふあ~‥緊急事態ってなんの事だ?」
欠伸を隠すことなく政宗が問う。

「さてな。俺にも分からん。」
その横には涼し気な表情の光秀が座る。

「なんだか、わくわくしますね。」
いつもと変わらない三成が
エンジェルスマイルを振りまくと
襖が開き、寝間着に羽織姿の
信長が静かに入ってきた。


「皆、揃ったか。」
全員の顔を見て、腰を降ろすと
その表情には焦りが見てとれる。


「緊急事態だ。心して聞け。」

その鬼気迫る様子に只事ではないと
そこに居た武将達は息を飲んだ。


「明日‥凛が徳を
一人で使いに出すと言いおった。」

瞬間、秀吉が立ち上がる。

「徳姫を?!お一人で?!」
なんて無茶をするんだ凛は‥と
拳を握る秀吉。

「徳姫なら大丈夫だろ。」
もう四歳になるんだろ?と政宗が
眠そうに頭を掻く。

「徳姫様は凛様に似て、大変
愛らしいですから心配ですね。」
と、三成が呟き頭を撚る。

「‥して、何の使いに?」
光秀が、さも愉しげに信長に問う。


「花と、反物だ。」
信長がふんと鼻を鳴らし
落ち着かない様子で扇子を弄ぶ。

「‥はあ、どうでもいい‥。」
家康が心底面倒くさいと言わんばかりの
ため息を漏らした。



「御館様、何故我らを集めたのです?」

「よく聞いた。光秀。」
信長が扇子をパチリと閉じて、
一人一人の顔を見渡す。

「全員、明日は徳姫の護衛に付き
無事に使いを成功させよ。」

「はっ!」
秀吉と三成は即座に頭を垂れ、

「楽しそうだな!」
と、政宗はニヤリと笑う。

「‥めんどくさ。」

「そう言うな家康。御館様の
この様な姿はなかなか拝めないぞ。」
と、光秀がクククッと喉を鳴らし
家康の肩を叩いた。


各々の返事を聞き、信長は
いつもの不敵な笑みを浮かべ
ゆっくりと立ち上がった。

「秀吉、三成は即座に作戦を練れ。」
他の者には追って沙汰を出す、と
家康の深いため息も信長には届かず
大六天魔王は広間を後にした。


「ホント、面倒くさい‥」

「諦めろ、家康。」



かくして信長の愛娘、徳姫の
初めてのお使いが幕を開ける。
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