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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


気づけば二人の周りには
避けたはずの本が再び山になっている。

(‥そうだった!)

朝餉を食べさせるという目的を
また思い出し、横から声を掛ける。

「二人とも!先に朝餉にしよう!」
ほら、重成も食べてるから!と
重成を無理矢理立ち上がらせると
書庫から追い出す。

仕方ない、と言わんばかりに
ため息を漏らすと、持っていた本の
項をペラペラと捲りながら歩き出す。

その姿を凛が見送っていると
ふわりと暖かな温もりに包まれた。

「おはようございます。」

「おはよう、三成くん。」

ニッコリと微笑み合うと
三成が困ったように眉根を寄せた。

「‥スミマセン。凛には
寂しい思いをさせていますね‥。」
ギュッと後ろから抱きしめる腕に
力が篭もる。


凛は小さく首を横に振ると、
三成の腕の中で方向を変え、
真正面から三成と向き合った。

「仕方ないよ、もうすぐ初陣だもん。」

                       「そうですね‥。」

重家の初陣には後方支援で
三成も出陣する事になっている。

「必ず、帰ってきます。二人で。」

三成の力強い言葉に
凛はしっかりと頷く。

「私はここで、重成と待ってるから。」
必ず、無事に帰ってきて、と
三成の背中に腕をまわす。

「ええ。必ず。」
凛の唇にそっと口づけると
三成はニッコリと微笑んだ。


「あの子達は、私達の宝物ですから。」

「二人で守っていこうね。」

子供が出来た時から、今まで
何かあれば交していた合言葉。

この乱世で生き抜く術を持つまでは。

この手を離れて行くまでは、と。




「さて、朝餉を食べないとですね。」

「そうだね。皆で食べよう。」

ふふっと二人で微笑み合うと
手を取り合い歩き出す。

キラキラと輝く朝日が
子供達の未来にも変わることなく
降り注ぐように、
凛は心の中でそっと願った。


end.

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