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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


「‥ん‥。」

廊下をドタドタと走る足音に
凛は薄っすらと瞼を持ち上げる。

「今の‥。」
ぼんやりとした頭を働かせて
起き上がろうとするものの、
しっかりと腰に回された逞しい腕は
解けそうもない。


「‥ん‥凛?」

「あ、起こしちゃいましたか?」

目は閉じたままモゾモゾと
抱きしめる腕に力を込める信玄。

「‥おはよう、俺の姫君。」
今日も美しいね、と額に口づけ
息を吐くように愛を囁く。

「おはようございます。」
照れたように頬を染めて微笑むと
信玄の形の良い唇が弧を描いた。


「まだ早いから寝ていなさい。」
ギュッと信玄の逞しい腕に
閉じ込められ、凛は
そっと広い胸に顔を埋めた。

(‥幸せだなあ。)

何年経っても変わらず愛情をくれて
こうして毎朝抱きしめてくれて、
毎日こうしてドキドキさせられる。

ぼんやりとそんな事を考えていると
信玄がフワリと頭を撫でた。


「‥凛。」
艷のある微笑みを浮かべる
信玄の顔が近づき、凛が
ゆっくりと瞼を閉じた。



瞬間、スパーーン!と
豪快な音を立てて、襖が開き
ドタドタと部屋に複数の足音が響いた。

「ちちうえー!」

「ははうえー!」

現れたのは、困ったような表情で
勢い良く布団にダイブしてきた双子。

「‥っ!ど、どうしたの?」
凛は半身を起こして
松姫と菊姫の背中を撫でる。

「「いないのー!」」
二人同時に大きな声を上げる。

「‥いない?」
凛がキョトンと首を傾げると
やれやれといった表情で、信玄が
ゆっくりと身体を起こす。


「松、菊、それじゃ分からないだろ?」
どうしたんだ?と、双子の頭に
ポンっと手を乗せる。

「あのね、ゆきむらいないの。」

「ゆきむらとね、遊びたいの。」

二人が顔を見合わせると同時に
廊下から義信が顔を出した。


「こんなとこに居た!」
父上、母上おはようございます、と
挨拶をして、部屋に入ってくると
布団の傍にちょこんと正座する。

「おはよう、義信。」
まだあどけない笑顔を見せる息子に
凛もふわりと笑顔を返す。

「おはよう。今日もいい男だな。」
信玄も微笑んで見せると
義信はへへっと笑い、
照れたように頭を掻いた。

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