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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第10章 Enjoy Summer


「好きな人は‥居ます‥けど」
尻すぼみになる凛の声。

思い浮かべるのは、つい最近、
想いを通わせたばかりの愛しい人。


「‥誰だ?」

ゴクリと誰かの喉が鳴る。
ジリッと武将達との距離が詰まる。

「あの、でも‥それは‥」
心臓が飛び出るんじゃないかと思う程
鼓動がバクバクと大きくなる。




凛がチラリと
その人に視線を投げると
ふと目が合い、

フッとその人の口元が綻んだ。



――――瞬間、

ヒュルルルル‥‥


「‥っ!」

全員がハッと音の方に視線を投げる。


ドーーーン

澄んだ夜空に大輪の華が咲いた。

バラバラバラ‥と音を残し
散っていくと、次々に
色とりどりの花火が上がる。


「‥綺麗。」
ほうっと見とれる凛。
周りの武将達も空に魅入る。

「ほお‥。」
隣で信長がニヤリと口端を上げる。



「‥あいつ!」
どこ行ったかと思ったら‥と
幸村が指差す方を見やると
巨大な筒の横で佐助が
大きく手を降っている。


「‥佐助くん?!」

「花火も作れるのか?」
凄いな‥と秀吉が感嘆の声を漏らす。

「‥あいつ本当に忍者?」
家康がため息混じりに呟く。


「素晴らしい花火ですね。」
大小様々に打ち上がる花火に
うっとりと魅入る三成。

「ああ、悪くない。」
隣で光秀も目を細め空を見つめる。


「やるなあ、佐助。」
いい演出じゃないか、と
穏やかに微笑む信玄の横で
謙信はふんと鼻を鳴らす。

「‥まあまあだ。」




「おお!すげえ!」
特大の花火が一際大きな音と共に
空に打ち上がる。



(好きな人か‥)

まるで子供のようにはしゃぐ武将達を
少し離れた場所から見やる。

それぞれが信念を持って
この戦国時代を生き抜いている。


「‥凛。」

名前を呼ばれ振り向くと
愛しいその人が微笑んでいた。

優しく頭を撫でられると
自然に頬が緩んでくる。

ドーーンと打ち上がる花火を
二人で並んで眺める。


まだまだ始まったばかりの夏に
始まったばかりの二人の恋。

夜空に瞬く花火のように
これからの輝く未来を思い、
こっそりと手を繋いだ。


end.
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