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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第9章 囲いの鳥



「凛、こっちへおいで。」

夏の日差しが照りつける午後。
涼を取ろうと涼し気な湖畔に訪れた。

林道の中にある小さな湖。
周りの木々が日陰になり、
ひんやりと心地よい。


謙信は乗ってきた馬を繋ぐと
羽織を脱ぎ草むらに広げ、
凛に手を差し伸べる。

「謙信様、羽織が汚れてしまいます!」

「かまわん。」

羽織を拾い上げようとする凛を
無理やり座らせ満足そうに微笑む。

「俺にとっては、お前が汚れる方が問題だ。」
そう言って愛おしそうに目を細めると
並んで腰を降ろす。

「‥ありがとうございます。」


遠くに蝉の声を聞きながら、
穏やかな風を頬で受ける。

最近は謙信の歪な愛情表現にも慣れ、
2人で穏やかな時間を過ごす事も増えた。

凛と話をする家臣の人に
刀を向ける事も減ったきた。

少しずつ変わろうとしてくれている
謙信に愛しさが日々膨らんでいく。


「謙信様、見てください!」
水面が日差しを受けてキラキラと
輝く様子を指さし謙信に微笑む。

「ああ、綺麗だな。」
だが‥、と凛の髪の毛を
一束掬い上げる。

「お前の方が綺麗だ。」

「‥っ!」

艷のある笑みを向けられ
凛の鼓動が跳ねる。

ドキドキと高鳴る鼓動を
振り払いたいが、謙信の
二色の瞳に捉えられ目が離せない。



「‥凛。」
謙信の笑みを浮かべた顔が
ゆっくりと近づく。

(謙信様の方がよっぽど綺麗‥。)
凛が瞳を閉じかけると
ふいに謙信がピクリと動きを止め、
目線だけで辺りを見渡す。


「‥謙信様?」

不思議に思った凛が
首を傾げると、謙信は
苛立ったように眉根を寄せた。

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