第8章 【R18】暑い夜と熱い夜
【おまけ】
「‥えっ?!媚薬?!」
「‥うん。ごめん。」
汗を流そうと湯浴みをした二人は
火照りを冷ます為、縁側に
並んで腰掛ける。
「‥家康も飲んだの?」
「‥まあ。」
そうでもしないと天の邪鬼な自分は
素直になれないと思ったから、と言う
その言葉はぐっと呑み込んだ。
「‥そっか。」
(だからあんなに‥)
つい先程まで熱に浮かされていた事を
思い出し、一人で頬を染める凛。
「‥でもそのせいだけじゃないから。」
ずっと触れたかった。
ずっと伝えたかった。
誰かのモノになるのが怖かった。
「‥もう一度、言っとく。」
そっと凛の手を握る。
ジッと見つめ合うと、
冷め始めていた体温が
再び熱を上げていく。
「‥好きだよ、凛。」
「‥家康。」
ドクンと心臓が大きく跳ね、
月光に照らされた翡翠の瞳に
吸い込まれそうになる。
「‥凛は?」
少し頬を染めた家康は
返事を急かすように
凛の身体を引き寄せる。
「‥私も‥好き。」
ずっと、ずっと好きだったよ、と
消え入りそうな声で呟く。
そのまま家康の腕の中に
閉じ込められると、
石鹸の香りが二人を纏う。
「‥もう離してやらないから。」
覚悟してよね、と触れるだけの
口づけを落とす。
「‥ん。離さないで。」
今まで伝えられなかった想いが
一気に溢れ出てくる。
夏の夜の風を肌に感じながら、
唇を何度も重ね合う。
暑い夏に実った二人の恋を
部屋に飾られた向日葵が、
静かに優しく見守っていた。
「‥もう一回シていい?」
「家康のえっち!」
end.