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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第7章 二人の宝物


夏の猛暑も過ぎ去り、
紅葉が鮮やかな秋―――。

穏やかな日差しが
涼しい風と吹き抜ける。



「桔梗っ!待って!」
凛はパタパタと
もうすぐ二歳の我が子を追いかける。

自分で歩けるようになったと思ったら
子供の成長は早く、気づけば
走り回るようになっていた。


廊下の角を曲がった直後、
ふわりと桔梗の身体が浮がり

「‥危ないだろ、桔梗。」

「家康っ、ありがとう。」

抱っこされて嬉しいのか
桔梗はニッコリ笑って、
家康にスリスリと頬を寄せる。

「‥っ!」

凛がそのまま小さくなったような
愛らしい姿に、甘え上手を上乗せして
もはや家康にとっては
最強にして最愛の小悪魔。


なんとか平静を保ち、
大人しくなった桔梗を床に降ろす。

「‥廊下は走らない。いい?」

「あいっ!」
桔梗はニッコリと微笑んで
片手を上げ、元気よく返事をする。

(堪んないんだけど‥)

抱き締めたい衝動を堪え、
天邪鬼な自分が顔を出す。

「‥はあ。ほら、行きな。」
大袈裟にため息を吐いて、
チラリと凛を見やると
心配そうにこちらを見ていた。


「家康、元気ないね?大丈夫?」
家康より少し背の低い凛は
無自覚に上目遣いで家康を見つめる。

(‥勘弁してよ。)

大きな瞳、形の良い唇には
今日は赤い紅をさしていて、
それが凛の肌の白さを際立たせる。

再び訪れた抱き締めたい衝動に
今度はもう抗える筈も無く‥。


「‥っ!家康?」
突然、手を引かれ抱き締められると
凛の頬が薄っすらと染まる。


「‥はあ。可愛すぎだから。」
あんたたち‥と、呟いた言葉は
凛の耳には届かなかった。


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