第18章 同じこと。
赤葦side
覚えてる。
どういう気持ちで伝えたのかも。
その時の佳奈の顔も。
その前に佳奈にキスしたことも。
全部全部覚えてる。
その時をゆっくり思い出しながら、
佳奈に言う。
「────俺、黒尾さん以上になって見せるから。
でしょ?」
佳奈に向けて言ったはずなのに、
何故か自分の心に何かを感じる。
これが何なのかはきっと分かることはないのかもしれない。
でも、きっと俺の中で何かが起きたことは間違いなく事実だと、俺は思う。
「お前らおせーぞ。早くしろ!」
そんな中、黒尾さんのうるさい声で俺達は布団から出た。