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柊家のもう一人の天才【終わりのセラフ】

第2章 白髪の二人


【一瀬side】


一年九組の、一番後ろの窓際の席。

そこにグレンは座っていた。



いまは初めてのホームルームの時間だ。担任らしき女が、これから行われる入学式について話している。


ちなみに小百合と時雨はこのクラスにはいない。

小百合は一組で、時雨は二組。

あきらかに誰かの意思が介入したとしか思えないほどに、九組からは場所的に一番離れたクラスに二人は配されていた。




「まあ、当然のことだが」


なにせ、グレンがここにいるのは、柊家がいかに優れ、圧倒的な力を有しているのかを、一瀬の次期当主候補に見せつける____というのが目的なのだから。




グレンはそんなことを考えながら、クラスを見回す。

クラスの名簿によると、ここは『帝ノ鬼』の中でも、幹部クラスの子女が多く所属しているクラスのようだった。


十条家。
五士家。
三宮家。

といった呪術界でも有名な名家の子供達が多数所属している。

ちなみにかつての一瀬家は、柊家を支える第一位の家柄だったのだという。だが今は、もっとも低い階級となっている。

その階級は絶対で、何人かの生徒たちがチラチラとこちらを見る。やはりそこには、同じクラスになったことへの嫌悪や、敵意が感じられる。


女教師もグレンをネズミ扱いし、それを誰もおかしいと思うこともなく笑っている。




馬鹿にされるのは別にいい。

わかっていてここにきているのだ。

だが、力で負けるのは許されない。




グレンはへらへらと笑いながら、また周囲を見回す。


十条家の女を。
五士家の男を。
三宮家の女を。


ちなみに、このクラスには二人、特別な人間がいることも、すでに名簿でわかっていた。

そいつらの名前は____



柊深夜、そして柊スイ。


柊の名字を持つ、柊家の人間だ。


『帝ノ鬼』にとって、柊の名前は特別な____それこそ、神の代理者と呼んでもいいほどに、高貴な名前のはずだった。



だがいま、その席は空いていた。

グレンの席と一番離れた場所____高貴な柊の名を持つ者の席は、汚いネズミとは最も離れた場所に用意されている。

つまり、教室の一番前、入り口の近くだ。
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