第5章 最憶君 <based on 雪・月・華>
「しょーっ、しょぅっ、ほしいのっ
これっ、ちょーだいっ!
ぼくにしろいのっ、くださいっ」
智くんのおねだりが辛い。
きっとあいつらに…父様に仕込まれたんだ。
その意味も知らずに智くんがいうその言葉が僕を引き裂く…。
その痛みを誤魔化すように、智くんの中に自らを埋め込んだ。
そこは凄く熱くて気持ちよくて…なにも考えられなくなる。
そのまま僕は何度も何度も智くんの中を味わい、何度も自らの欲望を吐き出した。
智くんの精と僕の欲望でぐちゃぐちゃになったけどそんな事、どうでも良かった。
これ以上に沈めないというところまで二人で快楽を淵に沈んだ…。
激情のままに抱いてしまった躰。
身体を浄め、意識を失った智くんを布団に横たえる。
全てが終わった今…罪悪感に駈られている自分がいた。
外から音がして思わずに身がすくむ。
入ってきたのは照だった。
照は僕の顔を見て何かに言いたげだったけど、無言で智くんの食事を置いて出ていった。
僕はそのまま、智くんが目を覚ますまで傍らで見つめていた。
髪の毛を撫でながら…ずっと…。
それはすごく幸せな時間だった。
目覚めた智くんに食事を取らせ、忍ばせていたお菓子を渡す。
それを喜ぶ智くんの顔は無邪気でとても綺麗で…自分の罪深さを改めて噛み締めた。