第3章 ー華ー
唇に口づけ、そのまま細い首筋に舌を這わせた。
浮き出た鎖骨を通り、汚れた身体を清めるかのように、丁寧に舐め取りながら唇を移動させた。
胸元の小さな粒を舌先で転がし、まだ僅かに体温の残る肌に指先を這わせた。
ずっと触れたくて…でも触れられなかった智の雪の様に白い肌に、潤は唇で、手で、永遠に散ることのない赤い華を咲かせて行く。
「ずっと一緒だから…」
潤は一旦身体を離すと、身に纏った物全てを脱ぎ去り、それを燭台に向けて投げ捨てた。
燭台は衝撃で倒れ、その拍子にシャツの上に落ちた小さな灯火は、チリチリと音を立てながら炎へとその姿を変えた。
潤は再び智の身体に覆い被さると、力なく投げ出された両足を抱え込んだ。
露になった蕾からは、悪魔の残した欲の残骸が溢れ出したが、それには構わず潤は反り勃った己を捩じ込んだ。
「どこまでも一緒に…」
無我夢中で智の身体を穿ち、何度も呪文のように繰り返す言葉…
「愛してる…愛してる…………愛してる…」
潤は智の中に熱く滾った思いの全てを吐き出すと、繋がったままの智の身体を抱き起こし、その腕の中に掻き抱いた。
その時、智の閉じた瞼の端から、真珠のような雫が頬を伝って潤の手に落ちた。
ずっと一緒だよ…?
ずっとずっと…
智の声が聞こえたような気がした。
いつしか紅蓮の炎は、きつく抱き合った二人の周りを取り囲むように燃え広がっていた。
ー華ー 完