第13章 同郷
うるせーな店先で
そう思い町娘達の視線の先に目をやると
「!!!ナルミっ」
土方の目に写ったのは
楽しそうに見知らぬ男と買い物をするナルミの姿だった
「…………………………総悟のヤロー。こういうことだったのかよ」
土方は沖田の言葉の意味を理解し
何も言わず踵を返し、来た道を戻った。
「おかえり!ナルミちゃん!非番は楽しめたかい?」
夕方屯所に戻ってきたナルミに近藤は声をかけた
「はいっおかげさまで楽しめました!
あ!土方さんは今お部屋にいらっしゃいますか?
お土産渡そうと思って」
「トシなら部屋で書類整理をしているぞ。なにやらずっと部屋にこもって仕事をしているから、お茶でも持って行ってやってくれないか?」
「はいっ」
コンコン
「土方さん、ナルミです。お茶をお持ち致しました」
話したいこといっぱいあるんだ。
いつもの「おう、入れ」という返事を待ちながら
今日の話何から話そうと考えていると
「茶なら山崎に今持って来させた。わりーけど今手が離せねー」
襖の向こうから予想外の返事が返ってきた。
今まで忙しい忙しいと言ってもお茶を持って行くと嬉しそうに招き入れてくれていたのに
「そ、そうですか、わかりました!あの何か用があれば言ってくださいね」