第12章 1日キャバ嬢
夜も更け始め、ぞろぞろとキャバ嬢達が出勤し始めた。
『きゃああ!土方さんだわ!』
『やーん!土方はんや!』
『えっ!どーしてここに?!あーん素敵!』
土方の姿に気づいたキャバ嬢達はわらわらと
土方に群がりキャアキャアと甲高い声を上げる。
私の元へ、私の元へとキャバ嬢達に両手を引っ張られる土方をナルミは見つめながら
うんうん!土方さん素敵ですよね!
と、呑気にキャバ嬢達に共感していた。
ナルミの視線に気づいた土方は慌てて
キャバ嬢達の手を払い
「今日は客として来たんじゃねー
こいつが危なかっしそうだから今日1日裏方として働く。」
ぐいっとナルミの肩を抱き寄せながら宣言する
『え?誰この子?!すごく可愛い……』
『見たことない顔ね』
「今日1日だけ私のヘルプとして働いてくれる
ナルミちゃんよ。そして土方さんの彼女よ。」
「よろしくお願いいたします」
お妙がナルミを紹介するとそれに合わせて
ナルミもペコリと律儀に挨拶をする。
『えええええ!土方さんの彼女!!!』
『やーん!ショック!!』
『悔しいけど、美男美女、お似合い』
『あぁー私立ち直れなーい』
キャアキャアとまた甲高い声を上げ嘆くキャバ嬢達
「ほらほら!ガッカリしてる暇ないわよ!そろそろ開店準備しなくちゃ!今日も男共騙してただ酒かっ食らうわよー!」
パンパンと手を叩き場を仕切るお妙の声にキャバ嬢達は、はぁ~い…と準備を始めた。