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【薄桜鬼】闇色夢綺譚~花綴り~ ※R18

第1章 闇色夢綺譚~花綴り~


【道、振り返り…。】







これは…どうしてこうなった!

じゃなかった。

何故じゃっ!

でもないや…。

「済みません…乾いていないと言うのは嘘なんです…。上等な生地でしたので洗うのに戸惑いまして…」

でも、雨に降られたかのようにびっしょりで、泥汚れも酷かったので…。

と、彼女は申し訳ないように私に説明してくれた。

簡単に説明すると生地が良すぎて汚れを落とすのに躊躇。でも、既に濡れていたので気合いで何とかなるかなって…。


そして、見事にヨレヨレ。
気合いでは無理だと思うよ、コレばっかりは…。

あー、別に謝らなくて良いのだが、これは本当に…。


私は持って来ていた筆を手にし、慣れた手つきで綴った。

書き終わり、それを彼女は声に出して読み上げる。

「これは、私が着ていた…って、」

彼女は目を丸くさせ、驚く。

え…だって私はスーツを着ていたんだ。
それに、こんな綺麗な着物なんて持っていない。

「名前さん、もしかして記憶が…」

あー、うん。そのつもりでいたのだけど…。



ガチで記憶喪失、かも。



その日は皆に会う予定だったのだが、一日延ばされる事になった。
都合が良いと言えば良い。
これまで冷静で居られた私だが、此処に来て初めて考える事を放棄した。


何だ、このトリップは…。


もう、分からん。
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