第1章 闇色夢綺譚~花綴り~
何故か私はこの時代の文字が書けた。
そして、読めた。
ミミズが這ったような文字。
私は古文や歴史が苦手だった。なのに何故読み書きが出来たのだろう。次いでに歴史なんて全てゲームで培った知識だ。特に戦国時代なんてあの某スタイリッシュうにゃららのゲームだから史実なんて有ったもんじゃない。
それと、私の瞳と髪の毛。
髪は腰まであったのだが、気付いたら肩に付くか付かないかのショートになっていて、色素は薄く、例えるなら風間千景の髪色に翡翠色を乗せた感じだ。
そして、瞳は髪色に似て翡翠色。
もはや日本人ではない。
これが噂のトリップした影響と言う訳か。
イヤ、もしかしたら特典かも知れない。そしたらヒロインの定義、ピンクの髪色にして欲しかった。
・・・・・。
イヤ、イヤ、否!沖田総司に斬られて終了だわ。
てか、目立ちすぎだろ。
「名前さんのその姿は沖田さんに似てますね」
後、斎藤さんにも似てます。
凄く、恰好良いです!
私がトリップ特典に文句を言っていると彼女はほんのりと頬を染めマジマジと私を見る。
褒めても何も出ないぞ。
てか、それは誉めているのか…?
しかし、彼女は分かっているのだろうか。
先程から新選組のメンバーの名前を言っているが、大丈夫なのだろうか。
いくら新選組が有名だからって道端に転がっていた得体の知れないオンナに衣食住を与えたり、名前ぶっちゃけたりさ。
まぁ、落ち着いた頃に雪村千鶴みたいに尋問されるのだろうけど。
そう言えば、私の服はどうしたのだろう。
アレが一番怪しい。
私は筆を手に取り服について書き綴った。
「あ、済みません」
汚れが酷くてお洗濯しちゃって…。
彼女はそう言う。
どうやらまだ乾いていないようだ。
私はそれでも確認したくて更に綴った。
私が現代に居たと言う証明が欲しくて…。