第1章 episode.00
「あ、星川さんだ」
「やっぱ歩いてるだけでも絵になるなー」
「今日も綺麗ー…」
「ずっと見てられるわ。でも…」
『見てるだけで十分』
同じ制服を着た男女から毎日、浴びせられる
何の代わり映えもしない同じ言葉に飽々しながら自分の教室へと歩みを進める。
廊下ですれ違う人達のも私への言葉であっても
それは、私に直接向かってきているものではなく友達同士の話題の一つ。
教室に入り小さく息を吐きながら窓際にある自分の席に腰を下ろして鞄から筆記用具を出し、頬杖をついて周りに目をやる。
?「おはよ…!」
思わず声がした方を見ると
ふんわりとしたショートボブの女の…あれ?
後ろのところ寝癖がぴょんってついてる…。
「音葉、後ろ寝癖ついてるよー?」
周りにそれを指摘され、大きなタレ目を
更に垂らしながら恥ずかしそうに笑って
寝癖を押さえる彼女は一目で好かれるのが分かるし…可愛いと思う。